シャンベルタン

CHAMBERTIN

シャンベルタンは、フランスはブルゴーニュ地方、コート・ド・ニュイ地区にある高級ワイン産地ジュヴレ・シャンベルタン村にある9つの特級畑のうちの一つとして称えられています。

またシャンベルタン・クロ・ド・ベーズと並び、この村の二大巨頭として世界から非常に高い評価を集めています。

グランクリュであるシャンベルタンを語る上で注目したい内容としては、まずその歴史的背景と地位の高さです。

シャンベルタンはブルゴーニュワインの中でも特に名高い特級畑に位置し、そのワインは「王のワイン」と称えられるほどの格別な存在です。その名前は中世の時代から使用されていることがその由緒を物語っています。

また、この畑が位置するジュヴレ・シャンベルタン村がブルゴーニュ地方の中でも最多のグランクリュ畑を擁すること、そしてこの地で造られるワインが「鉄の鎧を纏った拳」のように力強く、かつエレガンスに満ちていることも、シャンベルタンのワインを特別なものにしています。

そんな高貴なエリアでワイン醸造を続けている生産者には、アルマン・ルソー、プリューレ・ロック、フェヴレなど、品質と個性において他の追随を許さない名門たちが君臨しています。

テロワールの魅力を最大限に引き出したワインを生み出しており、長い伝統と熟練した技術、独自の哲学を持ち合わせ、シャンベルタンという地のポテンシャルを優美なワインへと形作っています。

特級畑であるシャンベルタンは、ジュヴレ・シャンベルタン村内でも「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」と並び特に名高いエリアとして知られており、約13.62haの面積を持つこの畑は標高約275〜300mの場所に東を向いて位置しています。

土壌の構成は畑によって微妙に異なり、上層部には泥炭質や砂利が混じり、下層に向かうと石灰岩の割合が増えます。この水はけがよく、多様な地層はワインに複雑性と深みをもたらし、熟成によってさらにそのポテンシャルを開花させます。

シャンベルタンのテロワールは、力強く、しかし繊細さと複雑性を兼ね備えたワインを生み出す理想的な環境になっており、ブルゴーニュワインの中でも特に高い評価を受けています。

このグラン・クリュで栽培されるブドウ品種は全てピノ・ノワールになります。シャンベルタンが所属するジュヴレ・シャンベルタン村ではほぼ100％がこの品種を栽培していますが、他の特級畑や1級畑のピノ・ノワールとは一線を画すような高い品質を持ち合わせており、色調、香り、味わい、すべての指標で他の追従を許さないほど確固たる権威を気づいています。

そんなシャンベルタン特級畑から造り出されるワインは、その輝きあるルビーレッドの色調から、熟したレッドチェリー、ブルーベリーなどの若々しい果実のアロマ、そしてバラやスミレのようなフローラルなニュアンスにスパイスの香りが加わることで、華やかでありながら落ち着いた雰囲気を演出します。

口に含むと、繊細でありながらキレのある酸味ときめ細やかなタンニン、豊かなミネラル感が見事に調和し、芳醇で厚みのある味わいが感じられます。特に、ブルーベリーの甘やかな果実味とスパイスのニュアンスが重なる余韻は、特級畑ならではの重厚感を感じさせます​​。

このワインの特徴は、シャンベルタンの独特なテロワールと、その地で長年にわたって磨かれた生産者の技術によって生み出されます。さらにこのエリアのテロワールの特徴である石灰質と粘土質が混じる多様な土壌の影響により、ワインに力強さ、複雑さ、エレガンスを与えてくれています。

このように、シャンベルタンの魅惑的な味わいを持つワインは、そのテロワールの特性と生産者の情熱と技術が融合し、世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。

シャンベルタンの歴史は、フランス・ブルゴーニュ地方のコート・ド・ニュイ地区に位置するジュヴレ・シャンベルタン村に紐づいています。もともとはジュヴレ村として知られていましたが、1848年に村の評判を高める目的で「ジュヴレ・シャンベルタン村」と改名され、村にある9つのグラン・クリュ畑にも「シャンベルタン」の名が与えられました​​。この名前は13世紀にこの地でブドウ栽培を始めたベルタンという農夫に由来し、「ベルタンの畑」を意味する「シャン・ド・ベルタン」が転訛して「シャンベルタン」となったとされています。

さらにこのエリアを語る上で忘れてはいけないのが18世紀の英雄ナポレオン・ボナパルトの存在です。シャンベルタンのワインはこのフランス皇帝がロシア遠征にまで持参したという逸話が残るほど愛されていたと言われています。「シャンベルタンを飲むこと以上に将来がバラ色に輝いて見えることはない」という言葉が、ナポレオンのシャンベルタンへの愛を物語っているとわかると思います。

シャンベルタンを所有する生産者の特徴を一言でまとめると、彼らはブルゴーニュワインの中でも特に傑出した品質と個性を追求しています。この畑を代表する生産者であるアルマン・ルソーは「エレガンスと凝縮感の完璧なバランス」を示し、プリューレ・ロックは「ビオディナミ農法による力強さと深い味わい」を特徴としています。またフェヴレは「特定の畑から造られる独特な香りと複雑さ」で知られています。

これらの生産者は、長い歴史と深い知識、独自の哲学を持ち、シャンベルタンのテロワールを最大限に引き出すことに成功しています。それぞれのアプローチは異なるものの、彼らのワインはブルゴーニュの中でも特に評価が高く、世界中のワイン愛好家から尊敬されています。