マジ・シャンベルタン

MAZIS CHAMBERTIN

マジ・シャンベルタンの畑はグランクリュ街道を走ると最初に出会すブルゴーニュのグランクリュでは最も北に位置する畑です。

9ヘクタールの大きさを有しているこの畑は「レ・マジ・バ（Les Mazis Bas）」と「レ・マジ・オー（Les Mazis Haut）」の二つの区画に分かれています。

この畑の気候は基本的に温帯気候に属し、冬は冷涼で夏は暖かく乾燥するジュヴレ・シャンベルタンの多くの畑と同様のものを有しています。

この気候条件は、栽培されているピノ・ノワールにとって理想的であり、均等な成熟を促し、果実味豊かでバランスの取れたワインに仕上げる手助けをしています。また畑の標高は約275〜300mの東向きの斜面にあります。

土壌は粘土石灰質土壌で、泥土や砂利質の堆積物となっています。

このような土壌の特性のおかげで、ブドウの根が深く伸び、地層深くから栄養を吸収しやすくなることを意味しています。

これがこのエリアのワインに深い味わいと長い余韻をもたらしています。

このように、マジ・シャンベルタンのテロワールは、その独特の気候と土壌の組み合わせにより、非常に高い品質のワインを生み出すことができます。

これらの要素が融合することで、マジ・シャンベルタンはブルゴーニュワインの中でも際立った存在となり、その複雑さ、力強さ、そしてエレガンスを世界中のワイン愛好家から高く評価されているのです。

マジ・シャンベルタンで造られるワインは、その豊かな色調、魅惑的な香り、そして複雑で深い味わいが特徴的です。

このワインの色調は、深いルビーからブラックチェリーにまで及び、目を引く鮮やかさを持ちます。

香りにおいては、ストロベリー、ブラックカラント、グーズベリーのフレッシュな果実のアロマが基調となり、そこにリコリスやスパイス、そしてバイオレットや苔、下草の自然な香りが絶妙に組み合わさります。

味わい関しては注意が必要で、区画ごとに細かな違いが生まれています。

斜面上部のレ・マジ・オーは隣接するシャンベルタン・クロ・ド・ベーズと地続きになっており、日当りと排水性が非常に良いことが特徴です。

その結果、よりフィネスの味わいがあるクロ・ド・ベーズとは違い冷風の影響で酸味を放つ、より野生的なアロマと華やかなアロマを有した濃厚かつワイルドな果実味のワインを作り出します。

一方で斜面の下部マジ・バは、平坦な地形で吹き付ける冷風と粘土土壌から、荒々しいボディを感じる筋肉質なワインとなります。

またこのエリアは古樹が多く存在し、時にこの村の最上位に位置するシャンベルタンをも凌ぐほどの強烈なワインにもなっています。

テロワールの影響を十分に受けた力強さと豪華さ、そしてエレガンスが一体となり、満ち足りた複雑なボディを形成しています。

その結果、豊かな果実味としっかりとしたタンニンがバランス良く融合しているため滑らかな口当たりと長い余韻をもたらしています。

マジ・シャンベルタンの歴史は、ブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタン村に深く根ざしています。この地は古くからワイン造りで知られ、マジ・シャンベルタンの畑名の由来は「小さな家」を意味する方言からきているとされています。

1860年のボーヌ農事委員会によるブドウ畑の格付けでは、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズと地続きにある上部のレ・マジ＝オーの方がレ・マジ＝バより格上とされました。

しかしその後、土壌、日照、斜面の傾き具合など、両者にほぼ違いはないとされ、1937年7月31日のグラン・クリュの地位の公式認定（A.O.C.）によって、その名声は確固たるものとなりました。

マジ・シャンベルタンには世界的に称賛されるワインを生産する著名な生産者が集まっています。

このエリア最大の所有者は、150年以上もの歴史を誇るブルゴーニュのワインオークション財団「オスピス・ド・ボーヌ」です。

品質面でのマジ・シャンベルタンのトップ生産者は、世界最高級のシャンベルタンを生み出すルロワ、その後ろをデュガピィが追随し、アルマン・ルソーも品質では上位ランカーです。

これらの生産者は、各自独自の哲学と伝統的な技術を持ち合わせており、異なるスタイルのワインを造り出しています。