リュショット・シャンベルタン
RUCHOTTES CHAMBERTIN

RUCHOTTES CHAMBERTIN

2025年12月18日
ブルゴーニュフランス

リュショット・シャンベルタンは、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区ジュヴレ・シャンベルタン村にある特級畑の一つで、その名前は岩(roches)から由来しています。

この地は、小石が多く痩せた土壌、そして谷からの冷風がもたらす独特のテロワールによって、繊細で凝縮感あふれるワインを生み出しています。

そんなワイン造りのために生まれたと言っても過言ではないこの場所に、ブルゴーニュの名高い生産者たちが惹かれおり、各々がこのテロワールの魅力を最大限引き出すために異なる表現を見せています。

この記事では、ただのワインを超えた存在であるリュショット・シャンベルタンの奥深い魅力に迫っていきます。

リュショット・シャンベルタンが世界から注目される理由

まずなんと言っても、リュショット・シャンベルタンを語る上で一番重要なる要素が、そのテロワールのポテンシャルの高さです。

世界でも栽培難易度が非常に高い高貴品種であるピノ・ノワールの栽培に適した気候環境や土壌環境を有しています。

天から授かりし上質なテロワールのおかげで、この区画はジュヴレ・シャンベルタン村にある特級畑の中では異質な存在になっています。

他の特級畑と比べて非常に骨格がしっかりとしたワインを造ることが多く、一般的に長期熟成可能なワインを生み出しています。

リュショット・シャンベルタンのワインを正確に把握するためにはまず何よりも「テロワール」について詳細に把握することが必要です。

次の章ではこの特級畑が有するテロワールの凄さに触れていきます。

骨格あるワインを生み出す偉大なテロワールについて

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標高約290〜310mの東向き斜面に位置するこの畑は、ジュヴレ・シャンベルタン村の中で最も標高が高い位置にあります。そのため、ブルゴーニュの半大陸性気候の中でも比較的冷涼な条件下でブドウを育てることができます。

特に、コンブ・ラヴォーの渓谷からの冷風の影響は、ブドウの成熟を遅らせ、その分酸をしっかりとキープした状態でブドウの収穫を行うことができます。

また土壌は粘土石灰質で、茶色い土壌が主を成し、表土は薄く、石灰岩の割合が高いことから、ワインに独特のミネラル感と硬質なタンニンをもたらしています。

さらに、この地域一帯の土壌は痩せており、小石が多く見られブドウの根が深くまで伸びることから、地層深くから栄養を吸収することができるので、凝縮した味わいの複雑なワインが造られます。

リュショット・シャンベルタンは、斜面上部のリュショット・デュ・ドシュと斜面下部のリュショット・デュ・バの2つのクリマから成り、各々が異なる特性をワインに与えます。

上部のリュショット・デュ・ドシュは、より日照に恵まれ、下部のリュショット・デュ・バは粘土質の比率がやや高くなり、それぞれがブドウとワインの風味に微妙な差異を生み出します。

リュショット・シャンベルタンのワインは、このようにしてその独特のテロワールから生まれ、土壌と気候が生み出す繊細なバランスが、非常に複雑で緻密な構造、そしてエレガントな酸味とミネラル感を持つワインを育んでいます。

リュショット・シャンベルタンで造られるワインの特徴

リュショット・シャンベルタンで造られるワインは、その独特のテロワールから生まれる繊細かつ力強い特性を持っています。色調は深いルビー色から若干のブラックチェリーに近い色合いをしており、その色調から果実の豊満さを感じさせます。

香りは、イチゴやスグリの果実の香りに加えて、リコリスなど、スパイスのニュアンスが複雑に絡み合い、そこにスミレや森の下草の香りが深みを加えています。

味わいは、力強さと優雅さ、そして酸味とミネラル感がバランス良く組み合わさり、口中での存在感は非常に印象的です。

また繊細なピノ・ノワールにも関わらずタンニンはしっかりとしており、熟成が進むにつれてより滑らかでシームレスなタンニンへと進化していくことが予測できます。

熟成ポテンシャルとベストな飲み頃について

熟成ポテンシャルに関しては、リュショット・シャンベルタンのワインは最低でも10年は熟成させる価値があり、適切な熟成を経ることで、その複雑さと繊細さがさらに際立つと言われています。

1985年や1990年など良いヴィンテージのワインでは、さらに長期熟成が可能で、時間と共に味わいの層が深まり、より洗練された味わいへと進化していきます。

飲み頃に関しては、若い時期にはその力強さと骨格を楽しむことができますが、熟成によって硬さが和らぎ、複雑な香りや味わいが調和した状態になります。

時間をかけてその変化を楽しむことができるのも、このワインの魅力の一つです。

クロ・デ・リュショットから始まるこの地の歴史について

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リュショット・シャンベルタンは、ジュヴレ・シャンベルタン村の最北に位置し、細分化された区画とモノポールが特徴的な一帯です。

歴史の初期段階である1855年には、「リュショット・ドュ・ドシュ(Ruchottes du Dessus)」と「リュショット・ドュ・バ(Ruchottes du Bas)」の二つのクリマが既に言及されていましたが、それぞれが異なるランクに分類されていました。

19世紀後半には、特にメゾン・トマ・バソ家(Maison Thomas-Bassot)がこの地域の主要な土地所有者として名を馳せ、彼らは「クロ・デ・リュショット(Clos des Ruchottes)」というモノポールを含む複数の区画でワインを生産していました。

1976年にメゾン・トマ・バソ家(Maison Thomas-Bassot)が事業を手放すと、アルマン・ルソー、ジョルジュ・ミュニュレ・ジブール、クリストフ・ルーミエといった名だたる生産者たちがその土地を引き継ぎました。

特にアルマン・ルソーが手に入れた「Clos des Ruchottes」は、リュショット・シャンベルタンの中でも特に名声が高い区画です。

このように、リュショット・シャンベルタンの歴史は、土地の所有権が移り変わり、各時代を代表する生産者たちがこの地で独自のワインを生み出してきたことによって形成されています。

その歴史的背景と生産者たちの哲学が融合し、リュショット・シャンベルタンはブルゴーニュワインの中でも独特の地位を築いています。

リュショット・シャンベルタンを有する注目生産者

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そんなメゾン・トマ・バソから畑を購入した現在の若きエリート生産者たちはこのリュショット・シャンベルタンのワインを他の特級畑とは違う独自の存在へと押し上げています。

世間一般的にはシャンベルタンやクロ・ド・ベーズが注目されていますが、リュショット・シャンベルタンを所有する生産者のワインもその希少性からも数十万円を超えるものが数多く排出され、現在なかなか入手することが難しいプレミアワインになってきています。

今回は複数いる生産者の中から、リュショット・シャンベルタンの顔ともいうべき注目生産者を3人ピックアップしてご紹介します。それぞれが織りなすワインの特徴の違いをぜひ比較してみましょう。

アルマン・ルソー

この畑の中でも特に名高い、モノポール畑「クロ・デ・リュショット」を所有するアルマン・ルソーは、非常に緻密で洗練されたワインを造っています。

豊富な果実味と複雑性、洗練されたミネラル感とタンニンのバランスが取れており、長期熟成にも耐えられる高品質なワインが生み出されています。

ジョルジュ・ミュニュレ・ジブール

土壌から引き出される力強いミネラル感と緻密なタンニン構造を持つワインを特徴とし、ラズベリーやダークチェリーのアロマが豊かに広がります。

アンリ・ジャイエ氏はミュニュレ・ジブールのリュショット・シャンベルタンを飲み、「ヴォーヌ仕立てのシャンベルタン」と表現しています。

クリストフ・ルーミエ

生み出されるワインは、力強く筋肉質の構造が特徴です。獣臭のニュアンスが感じられることもあり、その深みと複雑さは、リュショット・シャンベルタンのテロワールがもたらす独特の表現力の証です。

リュショット・シャンベルタンの現在の所有者

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1 アルマン・ルソー(Armand Rousseau) 1.1 ha クロ・デ・リュショット
2 ミュニュレ=ジブール(Mugneret-Gibourg)0.67 ha リュショット・デュ・バ
3 ミシェル・ボンヌフォンド(Michel Bonnefond) 0.54 ha リュショット・デュ・ドゥスュ
4 スザンヌ・トマ=コリニョン / フレデリック・エスモナン(Suzanne Thomas-Collignon / Frédéric Esmonin) 0.50 ha リュショット・デュ・バ
5 フランソワ・トラペ(François Trapet)0.21 ha リュショット・デュ・ドゥス
6 スアンリ・マニャン(Henri Magnien) 0.16 ha リュショット・デュ・バ & リュショット・デュ・ドゥスュ
7 シャトー・ド・マルサネ(Château de Marsannay) 0.10 ha リュショット・デュ・バ
8 マルシャン=グリヨ(Marchand-Grillot) 0.08 ha リュショット・デュ・バ

この地域のワイン一覧

4本
  • 在庫なし
    ミシェル・ボンフォン グラン・クリュ リュショット・シャンベルタン
    MICHAEL BONNEFOND GRAND CRU RUCHOTTES CHAMBERTIN
    2007 
    生産国フランス
    ぶどう品種ピノ・ノワール
    生産地ブルゴーニュ リュショット・シャンベルタン
    容量750mL
    0(税込)
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    ワインの詳細
  • 在庫なし
    アルマン・ルソー グラン・クリュ リュショット・シャンベルタン
    ARMAND ROUSSEAU GRAND CRU RUCHOTTES CHAMBERTIN
     
    生産国フランス
    ぶどう品種ピノ・ノワール
    生産地ブルゴーニュ リュショット・シャンベルタン
    容量750mL
    162,000(税込)
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    ワインの詳細
  • 在庫なし
    ミシェル・ボンフォン グラン・クリュ リュショット・シャンベルタン
    MICHAEL BONNEFOND GRAND CRU RUCHOTTES CHAMBERTIN
    1983 
    生産国フランス
    ぶどう品種ピノ・ノワール
    生産地ブルゴーニュ リュショット・シャンベルタン
    容量750mL
    0(税込)
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    ワインの詳細
  • 在庫なし
    アンリ・マニャン グラン・クリュ リュショット・シャンベルタン
    HENRI MAGNIEN GRAND CRU RUCHOTTES CHAMBERTIN
    2003 
    生産国フランス
    ぶどう品種ピノ・ノワール
    生産地ブルゴーニュ リュショット・シャンベルタン
    容量750mL
    0(税込)
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    ワインの詳細